ヤマハのYZF-R3とカワサキのNinja 400は、400ccクラスを代表する人気のスポーツバイクです。YZF-R3 Ninja 400 どっちのモデルを選ぶべきか、デザインやスペックを見比べて悩んでいる方も多いのではないでしょうか。エンジンの馬力や最高速への期待感、高速道路や街乗りでの乗り心地、そして気になる燃費性能や足つきの良さなど、比較すべき点は多岐にわたります。また、購入後のリセールバリューや中古価格の動向も気になるところです。長距離走行での振動や、税金などの維持費がほとんど変わらない点も考慮に入れると、ますます選択は難しくなります。この記事では、両者の違いを多角的に分析し、あなたのバイクライフに最適な一台を見つけるための具体的な判断材料を提供します。

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- 両モデルのスペックを具体的な数値で比較できる
- 街乗りやツーリングなど利用シーン別の適性がわかる
- 購入後の維持費やリセールバリューの傾向を把握できる
- 自身のライディングスタイルに合うモデルが判断できる
YZF-R3とNinja 400はどっちがいい?スペックで比較
この章のポイント
- エンジンの馬力とトルクの違い
- 気になる最高速はどちらが上か
- 車重と足つきの良さを比較する
- 長距離で影響する乗り心地の違い
- 高速巡航時の不快な振動は?
エンジンの馬力とトルクの違い
バイクの心臓部であるエンジンの性能は、ライディングの楽しさに直結する要素です。YZF-R3とNinja 400は、同じ並列2気筒エンジンを搭載していますが、その特性には明確な違いがあります。
Ninja 400は399ccのエンジンから最高出力48PSを10,000rpmで発生させます。一方、YZF-R3は320ccのエンジンで、最高出力42PSを10,750rpmで発揮します。排気量が大きい分、Ninja 400のパワーが数値を上回っています。

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注目すべきは、力強さの指標となる最大トルクです。Ninja 400は比較的低い8,000rpmで3.8kgf・mの最大トルクを発生させるため、発進時や追い越し加速で力強いフィーリングを味わえます。これに対してYZF-R3は、9,000rpmで3.0kgf・mのトルクを発生します。エンジンをより高回転まで回すことで、シャープな加速感とスポーティな走りを楽しめる特性を持っているのです。
日常的な扱いやすさと余裕のあるパワーを求めるならNinja 400が、高回転域を積極的に使って走る刺激的な楽しさを求めるならYZF-R3が、それぞれ適していると考えられます。
気になる最高速はどちらが上か
スペック上のパワーで優位に立つNinja 400が、最高速のポテンシャルにおいてもYZF-R3を上回ります。絶対的な排気量と馬力の差が、そのまま最高速度の差に現れるのは自然なことです。
ただ、日本の公道では法定速度が定められており、バイクの最高速性能を最大限に発揮できる場面は存在しません。そのため、最高速の数値そのものよりも、高速道路などでの巡航性能に目を向けることが現実的です。

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この点において、やはり排気量に余裕のあるNinja 400は、100km/h巡航時のエンジン回転数を低く抑えることができ、ライダーの疲労軽減に貢献します。追い越しをかける際も、よりスムーズでストレスの少ない加速が可能です。
一方で、YZF-R3も軽量な車体を活かした俊敏な走りが魅力であり、高速域での安定性も十分に確保されています。あくまでポテンシャルとしてNinja 400に分がありますが、どちらのバイクも高速道路を安心して走行できる性能を備えています。
車重と足つきの良さを比較する
バイクの扱いやすさを左右する車両重量と足つき性は、特に初心者や小柄な方にとって見逃せないポイントです。
車両重量は、Ninja 400が167kg、YZF-R3が169kgと、スペック上はNinja 400の方がわずかに軽くなっています。どちらもこのクラスとしては非常に軽量なため、押し歩きや駐輪場での取り回しで苦労することは少ないでしょう。

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シート高と足つき性の実際
シート高の数値は、YZF-R3が780mm、Ninja 400が785mmと、YZF-R3の方が5mm低く設定されています。しかし、足つき性はシート高の数値だけで決まるわけではありません。シートの形状や幅が大きく影響します。
Ninja 400はシート前方が細く絞り込まれた設計になっており、足をまっすぐ下ろしやすいため、スペックの数値以上に足つきが良いと感じる人も少なくありません。こればかりは個人の体格によって感じ方が異なるため、実際に販売店で両方のモデルに跨ってみることを強く推奨します。跨った状態で車体を左右に振ったり、少し押し歩きを試したりすることで、自分にとっての扱いやすさが明確になります。
長距離で影響する乗り心地の違い
ツーリングなど長距離を走る上で、乗り心地の良さは快適性を大きく左右します。両車の乗り心地は、ライディングポジションとサスペンションの設定によって特徴付けられます。
Ninja 400は、スポーツツアラーとしての側面も持ち合わせており、ハンドル位置が比較的高めで、ライディングポジションはややアップライトです。このため、上半身が起き上がった自然な姿勢で乗車でき、長時間の走行でも疲れにくいというメリットがあります。サスペンションも、路面からの衝撃をしなやかに吸収する設定で、快適な乗り心地を提供します。
一方、YZF-R3は、よりスーパースポーツに近い前傾姿勢のライディングポジションです。スポーティな走行では人車一体感を高めてくれますが、長距離のツーリングでは手首や腰に負担がかかりやすい傾向があります。サスペンションは剛性の高い倒立フォークを採用し、やや硬めの設定で、路面の状況をダイレクトに伝えてくるスポーティな味付けです。
快適なツーリングを楽しみたい方にはNinja 400が、スポーティなライディングフィールを重視する方にはYZF-R3が向いていると言えます。
高速巡航時の不快な振動は?
並列2気筒エンジンは、構造上ある程度の振動が発生します。特に高速道路での巡航時など、一定の回転数で走り続ける場面では、その振動が疲労の原因となることもあります。
Ninja 400は、排気量が大きく、高速巡航時のエンジン回転数を比較的低く保てるため、振動はマイルドに抑えられています。エンジン自体のバランスも良く、不快に感じるほどの振動はなく、快適な高速巡航が可能です。
対するYZF-R3は、Ninja 400に比べて同じ速度域でのエンジン回転数が高めになるため、人によっては振動をやや大きく感じることがあるかもしれません。しかし、これも不快で耐えられないというレベルではなく、エンジンの鼓動感として捉えられる範囲です。
振動の感じ方には個人差が大きい部分ですが、より振動の少なさと快適性を重視するのであれば、Ninja 400にアドバンテージがあると考えられます。



YZF-R3とNinja 400はどっちがいい?用途とコストで選ぶ
この章のポイント
- 高速道路と街乗りの得意な場面
- 気になる燃費とランニングコスト
- 税金や保険料はほとんど変わらない
- リセールバリューと中古価格の差
- 結論!YZF-R3 Ninja 400 どっちがあなた向き?
高速道路と街乗りの得意な場面
バイクを選ぶ際には、自分がどのような場面で主に使用するかをイメージすることが大切です。高速道路と街乗り、それぞれのシーンで両車の得意分野が見えてきます。

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高速道路での安定性
前述の通り、高速道路を多用するツーリングがメインの方には、Ninja 400がおすすめです。エンジンパワーとトルクに余裕があるため、巡航時の安定感や追い越し加速のスムーズさは大きな魅力となります。また、比較的楽なライディングポジションと優れた防風性能も、長距離移動の疲労を軽減してくれるでしょう。
街乗りでの軽快さ
一方、通勤や通学など、ストップ&ゴーの多い街乗りがメインであれば、YZF-R3の軽快さが光ります。スリムな車体と機敏なハンドリングは、混雑した市街地でも扱いやすく、キビキビとした走りを楽しめます。高回転型のエンジン特性も、短い距離で加速と減速を繰り返す街中では、スポーティな気分を盛り上げてくれる要素になり得ます。
どちらのモデルもオールラウンドにこなせますが、より快適な長距離走行を求めるならNinja 400、日常的な場面でのスポーティな操作性を楽しみたいならYZF-R3、という視点で選ぶのが良いでしょう。
気になる燃費とランニングコスト
バイクを所有する上で、燃費やメンテナンス費用といったランニングコストは無視できません。購入後の経済性について比較してみましょう。
国土交通省届出値のWMTCモード燃費で比較すると、YZF-R3が25.4km/L、Ninja 400が24.8km/Lです。カタログスペック上は、わずかにYZF-R3の方が燃費性能で優れています。
もちろん、これは定められた条件下での数値であり、実際の燃費はアクセルの開け方や走行環境によって大きく変動します。ただ、基本的な燃費性能に大きな差はないと考えて差し支えないでしょう。
スペック比較表
項目 | Kawasaki Ninja 400 | Yamaha YZF-R3 |
エンジン | 水冷4ストローク並列2気筒 | 水冷4ストローク並列2気筒 |
総排気量 | 399cc | 320cc |
最高出力 | 35kW (48PS) / 10,000rpm | 31kW (42PS) / 10,750rpm |
最大トルク | 37N·m (3.8kgf·m) / 8,000rpm | 29N·m (3.0kgf·m) / 9,000rpm |
車両重量 | 167kg | 169kg |
シート高 | 785mm | 780mm |
燃料タンク容量 | 14L | 14L |
WMTCモード燃費 | 24.8km/L | 25.4km/L |
新車価格(税込) | 792,000円~ | 748,000円~ |
※2025年6月時点のメーカー公式サイト情報を基に作成。年式や仕様により異なる場合があります。
オイル交換などの定期的なメンテナンス費用については、消耗品の価格や工賃に大きな差はなく、ほぼ同等と考えて問題ありません。したがって、年間のランニングコストの差は、主にガソリン代のわずかな違いに起因するものとなります。

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税金や保険料はほとんど変わらない
バイクを所有すると、税金や保険料といった法定費用が必ず発生します。これらの費用についても比較してみましょう。
YZF-R3とNinja 400は、どちらも排気量が251cc~400ccの「小型二輪車」に分類されます。このため、毎年課税される軽自動車税は年間6,000円で同額です。また、加入が義務付けられている自賠責保険の保険料も、排気量クラスで決められているため、両車に違いはありません。
差が出る可能性があるのは、任意保険の保険料です。ただし、これもライダーの年齢や等級、補償内容によって大きく変動するものであり、車両そのものの違いで保険料に極端な差が出ることは考えにくいです。
これらの理由から、税金や保険料といった維持費の面では、両モデルの間に実質的な差はほとんど変わらないと言えます。維持費を理由にどちらかを選ぶ必要はなく、純粋にバイクの性能や好みで判断するのが良いでしょう。
リセールバリューと中古価格の差
いつかバイクを乗り換える時のために、売却時の価格、つまりリセールバリューも気になるポイントです。この点においては、Ninja 400に明確な強みがあります。
Ninja 400は、400ccクラスでトップクラスの人気を誇り、中古車市場での需要が非常に高い状態が続いています。そのため、タマ数(市場に出回っている台数)が豊富でありながら、価格は高値で安定している傾向があります。年式や走行距離、車両の状態にもよりますが、比較的高値での売却が期待できるでしょう。
一方、YZF-R3も人気モデルであり、リセールバリューが決して低いわけではありません。しかし、中古市場における圧倒的な需要という点では、Ninja 400に一歩譲るのが現状です。
将来的な乗り換えを視野に入れていて、少しでも高く売却できる可能性を重視するならば、Ninja 400の高いリセールバリューは魅力的な要素です。ただし、リセールバリューを気にしすぎて、本当に乗りたいバイクを我慢するのは本末転倒です。あくまで判断材料の一つとして捉えるのが賢明です。

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結論!YZF-R3とNinja 400 どっちがあなた向き?
ここまで、スペック、用途、コストなど様々な角度からYZF-R3とNinja 400を比較してきました。最終的にどちらを選ぶべきか、あなたのための判断基準をまとめます。
- Ninja 400はオールラウンドに楽しめる万能性が魅力
- YZF-R3は高回転域を駆使するスポーティな走りが特徴
- パワーとトルクの絶対値は排気量の大きいNinja 400が優位
- 街乗りでの扱いやすさや発進加速はNinja 400に分がある
- 峠道などでの軽快感や刺激を求めるならYZF-R3が面白い
- 高速道路での安定感や長距離ツーリングの快適性はNinja 400
- ライディングポジションはNinja 400が楽でYZF-R3は前傾姿勢
- 足つき性はシート高の数値ではR3だがNinja 400も良好
- 車両重量はほぼ互角でどちらも取り回しは軽い
- 燃費や税金などの維持費に大きな差はない
- 新車価格はYZF-R3の方がやや安価な設定
- リセールバリューや中古市場での人気はNinja 400が非常に高い
- 初心者やバイクの操作に不安がある方にはNinja 400が馴染みやすい
- レーシーなデザインやブランドイメージを好むならYZF-R3
- 最終的には自身の好みと試乗したフィーリングで決めるのが最善