待望の新型モデルとして登場したトライアンフ スピード400は、その洗練されたデザインとクラスを超えた性能で、多くのライダーから熱い視線を集めています。しかし、英国ブランドのバイクを初めて検討する方にとって、トライアンフ スピード400の故障に関する不安は尽きないかもしれません。インターネット上では、高い故障率や万が一修理できない事態になったらどうしようという懸念の声も見受けられます。また、過去にリコールはあったのか、単気筒特有の振動はどの程度なのか、そして年間維持費やハイオク仕様の燃料代は家計を圧迫しないか、といった具体的な疑問から購入後に後悔したくないと考えるのは自然なことです。この記事では、兄弟車であるボンネビルのトラブル事例も参考にしつつ、所有する喜びの一つであるカスタムの現状まで含め、あなたが抱える不安を解消するための情報を多角的に、そして分かりやすく解説していきます。

トライアンフ公式
- トライアンフの故障率とリコールに関する客観的データ
- スピード400の維持費や燃料に関する具体的なコスト
- 修理やカスタムに関する現実的な情報
- 購入後に後悔しないための総合的な判断材料
トライアンフ スピード400 故障が多い噂は本当か
この章のポイント
- データで見るトライアンフの故障率
- 過去のトライアンフのリコール情報を確認
- 兄弟車ボンネビル トラブルから学ぶこと
- 単気筒エンジン特有の振動について
- 購入後に後悔しないためのポイント
データで見るトライアンフの故障率
トライアンフのバイクがどのくらい故障するのか、その故障率は購入を検討する上で最も気になる点の一つと考えられます。
客観的なデータを見ると、トライアンフの故障率は国産メーカーに比べてやや高い傾向にあるとされています。例えば、アメリカのユーザーデータを集計した一部の調査では、日本車ブランドが最も故障率が低く、トライアンフを含むヨーロッパのメーカーはそれに次ぐグループに位置付けられています。

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ただ、ここで注意したいのは、ヨーロッパのメーカーという括りの中ではトライアンフの成績は比較的良好であるという点です。他のいくつかのヨーロッパブランドと比較すると、故障率は低い水準にあるというデータも見られます。
また、多くのオーナーが指摘するのは「個体差が大きい」という事実です。幸運にも全く故障しない車両がある一方で、細かいトラブルが続く車両も存在するようです。そのため、一部の「故障しない」という意見だけを鵜呑みにするのは少し危険かもしれません。言ってしまえば、定期的なメンテナンスをしっかり行っているオーナーからは「長年ノントラブルだ」という声が多く聞かれるのも事実であり、故障率はオーナーの乗り方や保守管理に大きく左右されると言えます。
過去のトライアンフのリコール情報を確認
新車購入の際に、リコールの有無は安全性に直結する重要な関心事です。トライアンフは、この点について信頼できる対応体制を整えているメーカーとして評価されています。
まず、トライアンフはバイクに保安基準上の問題が発見された場合、迅速にリコール対応を行ってきた実績があります。過去の他モデルにおいても、ブレーキやエンジンに関する不具合が確認された際には、公式サイトや正規ディーラー網を通じて速やかに情報を公開し、無償での修理や部品交換を提供してきました。

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日本国内においてトライアンフ スピード400に関するリコールの届け出は確認されていません。これは、市場に投入されてから大きな設計上の問題が見つかっていないことを示唆しており、一つの安心材料になるでしょう。
もちろん、今後何らかの問題が発見される可能性はゼロではありません。しかし、その際にはメーカーが責任を持って対応する体制が整っていることは、購入を考える上で大きな安心感につながります。もしリコールが発表された場合、正規ディーラーから連絡が来るほか、国土交通省のウェブサイトでも情報を確認することが可能です。
兄弟車ボンネビル トラブルから学ぶこと
スピード400は新しいモデルですが、同じトライアンフのモダンクラシックシリーズに属する兄弟車、特に人気の高いボンネビルシリーズのトラブル事例から学べることもあるかもしれません。
ボンネビルシリーズで時折報告されるトラブルとしては、電装系の不具合が挙げられることがあります。しかし、これらの多くは特定の年式のモデルに見られたり、長期的な使用に伴うバッテリーなどの消耗品が原因であったりするケースが少なくありません。スピード400は最新の設計と電子制御システムを備えているため、過去の事例がそのまま当てはまるとは一概には言えないでしょう。
また、一部で囁かれる「スピードツイン900は夏場は熱くて乗れない」といった評判も、実際のオーナーからは「同排気量のバイクの中ではむしろ熱量は少ない方だ」という声が上がっています。このように、バイクのトラブルや特性に関する評判は、個人の感じ方や比較対象によって大きく変わることがあります。
したがって、ボンネビルなどのトラブル事例は参考情報の一つとして捉えつつも、過度に心配する必要はないと考えられます。むしろ、評判の真偽を見極め、信頼できる情報源から判断することが大切になります。
単気筒エンジン特有の振動について
スピード400は400ccの単気筒エンジンを搭載しています。単気筒と聞くと、SR400のような力強い鼓動感や、一方で高速走行時の不快な振動をイメージする方もいるかもしれません。
スピード400のエンジンは、そのような従来の単気筒のイメージを覆す、モダンで洗練されたフィーリングを持っています。もちろんエンジンが稼働している以上、振動が全くないわけではありません。しかし、その振動はライダーに不快感を与えるものではなく、エンジンの「鼓動」や「味」として感じられるように巧みに調整されています。

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スムーズさと力強さの両立
この心地よいエンジンフィールの理由は、慣性バランスを最適化したクランクシャフトや、フリクションロスを低減する最新技術の採用にあります。これにより、低回転域では粘り強く、エンストしにくい扱いやすさを実現し、回せばスムーズに吹け上がっていく力強さを両立させているのです。
実際のインプレッションでも、「パルス感はあるがツインエンジンのように滑らか」「ぐいぐいと前に進む独自の感覚」といった評価が多く見られます。発進や停止を繰り返す街乗りから、ワインディングでのスポーツ走行まで、様々なシーンで心地よい走りを楽しめるキャラクターと言えるでしょう。
購入後に後悔しないためのポイント
トライアンフ スピード400という魅力的なバイクを手に入れて、「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、いくつかの重要なポイントを事前に押さえておくことが大切です。
最も重要なことの一つは、信頼できる正規ディーラーを見つけることです。外車であるトライアンフを維持していく上で、購入後のメンテナンスや万が一のトラブル対応など、ディーラーとの付き合いは非常に長くなります。スタッフの知識や対応の丁寧さ、工場の設備などを確認し、安心して任せられるお店で購入することが、結果的に満足度の高いバイクライフにつながる鍵となります。

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また、トライアンフにはメーカーが品質を保証する「認定中古車制度」も存在します。新車にこだわらないのであれば、厳しい基準をクリアし、新車同様の保証が付帯する認定中古車を選ぶのも賢い選択肢です。初期不良が出尽くした個体を選べる可能性もあります。
そして、何よりも大切なのは、実際に試乗してみることです。スペックや評判だけでは分からない足つき性やライディングポジション、エンジンのフィーリングなどを自身で体感することで、本当に自分に合ったバイクなのかを判断できます。デザインに一目惚れしたとしても、一度冷静に自分の体格や乗り方との相性を見極めることが、後悔を避けるための最善策です。


※ご自身のバイクに装着可能か、確認の上ご購入ください。
トライアンフ スピード400 故障と所有コスト
この章のポイント
- 気になる年間の維持費はどのくらい?
- 燃料はハイオク指定?ガソリン代を検証
- 楽しめるカスタムパーツは豊富にあるか
- 万が一の際に修理できないことはある?
気になる年間の維持費はどのくらい?
スピード400を所有する上で、具体的にどれくらいの費用がかかるのか、年間の維持費は非常に気になるところです。国産の同クラスのバイクと比較すると、少し高くなる傾向はありますが、内訳を理解すれば計画的に備えることができます。
年間の維持費は、大きく分けて「必ずかかる費用(税金・保険)」と「乗り方によって変動する費用(メンテナンス・消耗品)」に分けられます。

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必ずかかる費用
これらは排気量によって決まるため、国産の400ccバイクと全く同じです。(2025年6月時点)
- 軽自動車税: 年間6,000円
- 自賠責保険: 加入期間で変動しますが、12ヶ月で7,010円
- 任意保険: 年齢や等級、補償内容で大きく変動します。年間数万円から十数万円が目安です。
変動する費用
ここが国産車と差が出やすい部分です。特にメンテナンス費用や部品代が少し高めに設定されていることがあります。
費用項目 | 目安金額(年間) | 備考 |
ガソリン代 | 約17,000円 | 年間3,000km走行、燃費30km/L、ハイオク170円/Lで計算 |
エンジンオイル交換 | 10,000円~15,000円 | 年1~2回交換。オイル代+工賃。 |
定期点検費用 | 15,000円~30,000円 | 12ヶ月点検の費用。ディーラーにより異なる。 |
その他消耗品 | 都度発生 | タイヤ、ブレーキパッド、チェーンなど。乗り方で大きく変わる。 |
このように考えると、任意保険を除いた基本的な維持費として、年間で少なくとも5万円~7万円程度は見ておくと安心です。もちろん、走行距離が伸びれば、その分ガソリン代や消耗品費は増加します。

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燃料はハイオク指定?ガソリン代を検証
スピード400のエンジン性能を最大限に引き出すため、メーカーはハイオクガソリンの使用を指定しています。普段レギュラーガソリンのバイクに乗っている方からすると、少し気になるところかもしれません。
なぜハイオクが指定されているかというと、エンジンの圧縮比が高い設定になっており、異常燃焼(ノッキング)を防ぐためです。レギュラーガソリンを入れると、エンジンの性能を十分に発揮できないだけでなく、最悪の場合エンジントラブルの原因にもなりかねませんので、必ずハイオクを使用しましょう。
では、実際にレギュラーガソリンと比較して年間の負担はどれくらい増えるのでしょうか。
レギュラーとハイオクの価格差を1リットルあたり10円として計算してみます。スピード400の燃費を多くのオーナーが報告している30km/Lと仮定した場合、年間3,000km走行すると必要なガソリンは100リットルです。
- 年間の価格差: 10円/L × 100L = 1,000円
このように、年間の走行距離が一般的であれば、その差額は月々100円未満となり、家計を大きく圧迫するほどの金額ではないことがわかります。むしろ、燃費自体が非常に良好なため、トータルでのガソリン代は経済的とさえ言えるでしょう。
楽しめるカスタムパーツは豊富にあるか
バイクを自分好みに仕上げるカスタムは、所有する大きな楽しみの一つです。スピード400は登場からまだ日が浅いモデルですが、その人気を背景にカスタムパーツのラインナップは着実に増えつつあります。
現状では、まずトライアンフ純正のアクセサリーが充実しています。スタイリッシュなウインドスクリーンや各種プロテクター、積載性を向上させるラゲッジ類など、メーカー品質のパーツで手軽に機能性やデザイン性を高めることが可能です。

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社外パーツの動向
社外品に目を向けると、国内外のパーツメーカーが開発に力を入れています。特にマフラーやバックステップ、レバー類といった定番のカスタムパーツは、選択肢が増えてきました。まだラインナップが豊富とは言えない部分もありますが、世界的に注目されているモデルであるため、今後さらに多くのユニークなパーツが登場することが期待されます。
ただし、注意点として、自分でカスタムを行う際はバイクの保証に影響が出ないかディーラーに確認することが賢明です。特に電装系やエンジン性能に関わるカスタムは、専門知識を持つプロに任せることをお勧めします。最新のパーツ情報は、バイクパーツ専門のウェブサイトやディーラーで確認すると良いでしょう。

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万が一の際に修理できないことはある?
「外車は故障したら修理できないのではないか」という不安は、特に初めて外車を検討する方が抱きがちな心配事です。
この点に関して、トライアンフの正規ディーラーでバイクを購入し、メンテナンスも任せている限り、「修理できない」という事態に陥ることはまず考えられません。メーカーは正規販売網を通じて、修理に必要な技術情報や純正部品を供給する体制を整えているからです。
実際に、あるオーナーがスピード400で立ちごけをしてしまった際の修理報告があります。このケースでは、曲がったシフトペダルは交換せずに修正してもらい、折れたミラーの部品代(約9,000円)と、少し早めの初回点検費用だけで済んだとのことです。ディーラーの対応も非常に丁寧で、修理の選択肢を提示しながら進めてくれたようです。

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ただし、国産車と異なる点として、国内に在庫がない特殊な部品を取り寄せる場合、本国イギリスからの輸送で時間がかかる可能性はあります。とはいえ、これは「修理できない」のではなく「修理に時間がかかる」ということであり、致命的な問題ではありません。むしろ、信頼できるディーラーとの関係を築いておくことが、万が一の際にも安心して対応してもらえる最大の保険となります。


※ご自身のバイクに装着可能か、確認の上ご購入ください。
まとめ:トライアンフ スピード 400 故障の不安解消
- スピード400は多くのライダーを魅了するエントリーモデル
- 故障率は国産車に比べやや高い傾向だが個体差も大きい
- ヨーロッパのバイクブランドの中では比較的信頼性が高い
- メーカーはリコールに対して迅速かつ誠実に対応する体制
- エンジン特有の振動は不快ではなく心地よい鼓動感として設計
- 兄弟車のトラブル事例がそのまま当てはまるとは限らない
- 購入後に後悔しないためには信頼できるディーラー選びが最も重要
- 年間の維持費は国産の同クラスより少し高めと認識しておく
- 部品代や専門的なメンテナンス工賃がコストの主な違い
- 燃料はハイオク指定だが燃費性能が非常に良好
- 正規ディーラーであれば修理できないというリスクは極めて低い
- 修理部品の取り寄せに時間がかかる可能性は考慮しておく
- カスタムパーツは純正・社外品ともに今後さらに充実する見込み
- 定期的な点検とメンテナンスが性能を維持し故障を防ぐ鍵
- 総合的に見て不安要素を理解すれば所有する価値は非常に高い一台