世界中で愛されるスーパーカブ50は、その優れた燃費性能で知られています。しかし、「最近、どうも燃費が悪くなった気がする」と感じ、その原因が分からず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。スーパーカブ50の燃費が悪い原因は、乗り方だけでなく、見過ごしがちなメンテナンス不足やエンジン性能の低下にあるかもしれません。
この記事では、スーパーカブ50の燃費が悪くなったと感じる方のために、リッター何キロという平均燃費の基準から、燃費を改善する方法までを網羅的に解説します。燃料タンク容量を基にした航続距離の考え方、すぐに実践できる燃費のいい走り方のコツ、そしてそもそもスーパーカブの燃費が優れているのはなぜかという基本的な知識まで、あなたの疑問を解消します。

HONDA公式
- スーパーカブ50の客観的な燃費基準と航続距離
- 燃費が悪化する具体的な原因を特定する方法
- 明日から実践できる燃費改善のためのメンテナンス
- 燃費をさらに伸ばすための効果的な運転テクニック
スーパーカブ50の燃費が悪い原因と基本知識
この章のポイント
- そもそも燃費が優れているのはなぜですか?
- リッター何キロ?平均燃費の公式データ
- 燃料タンク容量から分かる航続距離の目安
- あなたのカブの燃費悪くなった原因とは
- 放置しがちなエンジン性能の低下サイン
そもそも燃費が優れているのはなぜ?
スーパーカブ50が「低燃費バイクの代名詞」として知られているのには、明確な理由があります。ホンダの技術が凝縮された設計思想そのものが、優れた燃費性能を生み出しているのです。
大きな理由の一つは、その軽量な車体設計にあります。車体が軽いほど、エンジンが動かすために必要なエネルギーは少なくなります。スーパーカブ50は、シンプルで無駄のない構造により車重が抑えられており、これが燃料消費を低減させる大きな要因となっています。
また、搭載されている空冷4ストローク単気筒エンジンも、燃費性能に大きく貢献しています。このエンジンは、低い回転数でも十分な力を発揮する「低回転高トルク型」という特性を持っています。そのため、頻繁にアクセルを大きく開けて高回転まで回さなくてもスムーズに走行でき、結果として燃料の消費を抑えることが可能です。
このように、車体の軽さとエンジンの効率的な特性という二つの要素が組み合わさることで、スーパーカブ50は驚異的な燃費性能を実現しています。

イメージ画像(@プレステージ・モーターバイクス)
リッター何キロ?平均燃費の公式データ
スーパーカブ50の燃費について話す際、いくつかの異なる基準が存在することを理解しておくことが大切です。メーカーが公表するカタログ値と、私たちが実際に公道を走行した際の実燃費には差があるためです。
以下の表は、スーパーカブ50(現行モデル参考)の燃費に関する主な指標をまとめたものです。
測定方法 | 燃費の目安 | 備考 |
定地燃費値 (30km/h) | 105.0km/L | 国土交通省届出値。平坦な道を一定速度で走行した際の理想的な数値。 |
WMTCモード値 | 69.4km/L | 発進、加速、停止などを含んだ国際基準の測定値で、より実走行に近い。 |
実燃費(ユーザー報告) | 約50~70km/L | 実際の走行環境(市街地、郊外)や運転スタイルによって変動する平均的な数値。 |
カタログに記載されている定地燃費値は非常に高い数値ですが、これはあくまで特定の条件下での測定結果です。一方で、より現実的な走行パターンを想定したWMTCモード値は、実燃費に近い参考値となります。
多くのユーザーからの報告を総合すると、実際の燃費はリッターあたり50kmから70kmの範囲に収まることが多いようです。もしあなたのカブの燃費がこの範囲を大きく下回るようであれば、何らかの原因が潜んでいる可能性が考えられます。
燃料タンク容量から分かる航続距離の目安
スーパーカブ50の燃料タンク容量は、現行モデルで4.3リットルです。この数値を把握しておくと、満タン給油でどのくらいの距離を走行できるか、おおよその航続距離を計算できます。
計算方法は非常に単純で、「燃料タンク容量 × 実燃費」で求められます。
例えば、あなたのスーパーカブ50の実燃費が60km/Lだと仮定しましょう。その場合の計算は以下のようになります。
4.3L(タンク容量) × 60km/L(実燃費) = 258km
つまり、一度満タンにすれば、給油なしで約258km走行できる計算になります。これは、東京からであれば静岡県浜松市の手前あたりまで到達できる距離に相当します。
もちろん、実燃費は走行状況によって変動するため、これはあくまで目安です。しかし、ご自身のバイクのおおよその実燃費を把握し、タンク容量と掛け合わせることで、ツーリングの計画を立てる際や、給油のタイミングを考える上で非常に役立ちます。

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あなたのカブの燃費悪くなった原因とは
スーパーカブ50本来の燃費性能が発揮できていない場合、その原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。原因は大きく分けて「メンテナンス不足」「運転スタイル」「部品の経年劣化」の3つに分類できます。
メンテナンスに起因する原因
最も一般的で、かつ改善しやすいのがメンテナンス不足です。
- タイヤの空気圧不足:走行抵抗が増加し、燃費が悪化する直接的な原因になります。
- エンジンオイルの劣化・量:オイルが汚れていたり、量が不適切だったりすると、エンジン内部の摩擦が増えて効率が落ちます。
- チェーンの緩みや汚れ:チェーンのコンディションが悪いと、エンジンの力がスムーズにタイヤに伝わらず、駆動ロスが生じます。
- エアクリーナーの詰まり:空気をうまく取り込めなくなり、不完全燃焼を引き起こしやすくなります。
運転スタイルに起因する原因
日々の乗り方も燃費に大きく影響します。
- 急加速・急減速の多用:エンジンに最も負荷がかかる運転方法であり、燃料を大きく消費します。
- 不要なアイドリング:短時間であっても、停車中のアイドリングは燃料を消費し続けます。
これらの原因は、後述する具体的な改善策を実践することで、比較的容易に燃費を回復させることが可能です。

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放置しがちなエンジン性能の低下サイン
日々のメンテナンスをしっかり行っていても燃費が改善しない場合、エンジンや車体の見えにくい部分で問題が発生している可能性が考えられます。これらは専門的な知識や工具がないと特定・修理が難しい場合が多いため、注意が必要です。
例えば、長年乗り続けたバイクでは、エンジン内部のピストンとシリンダーの隙間が広がり、圧縮が抜けてしまう「圧縮低下」が起こることがあります。こうなると、燃焼効率が著しく低下し、燃費が悪化するだけでなく、パワー不足も感じるようになります。
他にも、
- 自動遠心クラッチの滑り:アクセルを開けてもエンジン回転だけが上がり、速度がついてこない症状。力が逃げてしまい燃費が悪化します。
- ブレーキの引きずり:ブレーキ部品の固着などにより、走行中に常に軽いブレーキがかかっている状態。大きな走行抵抗となります。
- キャブレターやインジェクションの不調:燃料と空気の混合比が狂い、適切な燃焼ができなくなります。
- 点火時期の狂いやマフラーの詰まり:これらも正常な燃焼と排気を妨げ、エンジン性能を低下させる要因です。
このような症状が疑われる場合は、無理に自分で解決しようとせず、信頼できるバイクショップに相談し、点検してもらうことを強くお勧めします。



スーパーカブ50の燃費が悪い原因を解消する実践法
この章のポイント
- 日々のメンテナンスで燃費を改善する方法
- 最も重要なエンジンオイルのメンテナンス
- タイヤ空気圧とチェーンの定期チェック
- 明日からできる燃費のいい走り方のコツ
- 燃費改善に役立つアクセサリーの選び方
- まとめ:スーパーカブ50の燃費が悪い原因は解消できる
日々のメンテナンスで燃費を改善する方法
スーパーカブ50の燃費を改善するための第一歩は、専門的な知識がなくても実践できる、日々の基本的なメンテナンスにあります。バイクの状態を良好に保つことは、燃費向上だけでなく、安全性の確保やバイク自体の寿命を延ばすことにも直結します。
高価なパーツに交換したり、特別なチューニングを施したりする前に、まずはこれから紹介する基本的なメンテナンス項目を見直すことから始めてみましょう。
言ってしまえば、バイクも人間と同じで、定期的な健康診断が欠かせません。これから解説するエンジンオイルの管理、タイヤ空気圧のチェック、チェーンの整備などは、まさにその健康診断の基本項目にあたります。一つ一つの効果は小さく感じられるかもしれませんが、これらを継続して行うことで、燃費は着実に改善していくはずです。
最も重要なエンジンオイルのメンテナンス
エンジンオイルは、エンジン内部の潤滑、冷却、洗浄、密閉といった多様な役割を担う「バイクの血液」とも言える存在です。このオイルのコンディションが、エンジン性能、ひいては燃費に直接的な影響を与えます。
オイル交換を怠り、汚れたままの状態で走行を続けると、オイルの粘度が上がってエンジン内部の摩擦抵抗が増加します。これにより、エンジンは本来必要のない余計なエネルギーを使うことになり、燃費が悪化してしまうのです。
オイルメンテナンスのポイントは以下の通りです。
- 定期的な交換:走行距離3,000km、または1年に一度のどちらか早いタイミングでの交換が推奨されています。シビアコンディション(短距離走行の繰り返しなど)で乗ることが多い場合は、より早めの交換が望ましいです。
- 適切な量の維持:オイルの量が多すぎても少なすぎてもエンジンに負荷がかかります。車体を垂直に立て、オイルレベルゲージで規定の範囲内に収まっているか定期的に確認しましょう。
- 適切な粘度の選択:メーカーが推奨する粘度のオイルを選ぶことが基本です。粘度が硬すぎると抵抗が増え、柔らかすぎると油膜切れを起こしやすくなります。
オイル交換は、燃費改善において最もコストパフォーマンスの高いメンテナンスの一つと考えられます。

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タイヤ空気圧とチェーンの定期チェック
エンジンオイルと並んで、燃費に大きく影響するのがタイヤとチェーンの状態です。これらはエンジンの力を地面に伝えるための重要なパーツであり、ここのコンディションが悪いと大きなエネルギーロスにつながります。
タイヤの空気圧管理
タイヤの空気圧が低下すると、タイヤの接地面が広がり、路面との摩擦抵抗(転がり抵抗)が増大します。これは、常に軽いブレーキをかけながら走っているような状態であり、燃費を悪化させる非常に大きな原因となります。
スーパーカブ50の推奨空気圧は、前輪が175kPa(1.75kgf/cm²)、後輪が225kPa(2.25kgf/cm²)です。月に一度はガソリンスタンドなどでエアゲージを使い、この規定値に調整することを習慣づけましょう。適正な空気圧は、燃費を改善するだけでなく、タイヤの偏摩耗を防ぎ、操縦安定性や安全性を高める効果もあります。
チェーンのコンディション
ドライブチェーンは、エンジンの動力を後輪に伝える重要な役割を担っています。このチェーンがサビていたり、油が切れていたり、緩みすぎていたりすると、スムーズな力の伝達が妨げられ、燃費が悪化します。
チェーンが汚れている場合は、専用のクリーナーで古い油や汚れを落とし、その後チェーンルブ(潤滑油)を丁寧に注油してください。また、チェーンの「遊び(たるみ)」も重要です。たるみすぎても、張りすぎてもいけません。定期的に適切な張りに調整することで、駆動ロスを最小限に抑えることができます。

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明日からできる燃費のいい走り方のコツ
メンテナンスと並行して、日々の運転スタイルを見直すことも燃費向上には不可欠です。少しの意識で燃料の消費は大きく変わるため、ぜひ実践してみてください。
穏やかなアクセル操作を心がける
燃費を最も悪化させる運転は「急」のつく操作、特に急加速です。発進時にアクセルを勢いよく開けると、エンジンは大量の燃料を消費します。そこで、発進時はアクセルをじわりと開け、バイクがスムーズに動き出すのを意識しましょう。速度が乗ってきたら、早めにシフトアップしていくことで、エンジンを低い回転数に保つことができ、燃費に貢献します。
予測運転とエンジンブレーキの活用
前方の交通状況や信号を早めに把握し、無駄な加減速を減らす「予測運転」も大切です。例えば、前方の信号が赤に変わったのが見えたら、早めにアクセルを戻し、惰性とエンジンブレーキを使って自然に減速します。これにより、燃料を消費せずに速度を落とせるだけでなく、ブレーキパッドの摩耗も抑えることが可能です。
逆に、停止状態から再発進する際は大きなエネルギーを消費するため、なるべく停止しないように車間距離を調整しながら走行することも、燃費のいい走り方の一つと言えます。
燃費改善に役立つアクセサリーの選び方
基本的なメンテナンスや運転方法の見直しに加えて、特定のアクセサリーに交換することで、さらなる燃費向上が期待できる場合があります。ただし、パーツ選びにはメリットだけでなく注意点も存在します。
例えば、点火プラグを標準のものから、より着火性能の高い「イリジウムプラグ」に交換する方法があります。これは、燃焼効率を高めることで、燃費や始動性の向上に繋がる可能性があるとされています。比較的安価で交換も容易なため、試してみる価値のあるカスタマイズの一つです。

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一方で、注意が必要なのがマフラーの交換です。排気効率の良い社外マフラーに交換すると、理論上はエンジンの負担が減り、燃費が改善することがあります。しかし、多くのスポーツマフラーは音や高回転域の性能を重視しているため、低速域のトルクが細くなり、結果的により多くアクセルを開けることになって燃費が悪化するケースも少なくありません。マフラーを交換する際は、燃費とのバランスを考慮して設計された製品を選ぶことが肝心です。
アクセサリー選びは、単に性能向上を求めるだけでなく、自分のバイクや乗り方に合っているか、費用対効果は見合うかを冷静に判断することが大切になります。



まとめ:スーパーカブ50の燃費が悪い原因は解消できる
この記事では、スーパーカブ50の燃費が悪化する様々な原因と、それを解消するための具体的な方法について解説してきました。最後に、今回の重要なポイントをまとめます。
- スーパーカブ50の平均的な実燃費は約50~70km/Lが目安
- 燃費悪化の二大要因は日々のメンテナンス不足と運転スタイル
- 燃費が著しく悪い場合はエンジンなど専門的な点検も視野に入れる
- カブ本来の低燃費は軽量な車体と高効率なエンジンによるもの
- タイヤの空気圧は月に一度、規定値に調整する習慣をつける
- チェーンの清掃、注油、張り調整は駆動ロスを減らす鍵となる
- エンジンオイルは走行3,000kmまたは1年での交換を心がける
- 発進時はアクセルをゆっくり開け、急加速を避ける
- 早めのアクセルオフとエンジンブレーキの活用で燃料を節約する
- 予測運転で無駄な加減速を減らすことが燃費向上に繋がる
- エアクリーナーやプラグといった消耗品の点検も忘れない
- 自分のバイクの平均燃費を把握することが改善の第一歩
- マフラー交換などのカスタムは燃費が悪化する可能性も考慮する
- 燃費の改善はガソリン代の節約だけでなく環境負荷の低減にも貢献する
- この記事で紹介した対策を実践すればカブ本来の性能を取り戻せる可能性がある