スーパーカブ70と90、どっちを選ぶべきか、悩んでいませんか。中古市場で探していると、価格や状態も様々で、70と90の違いは何なのか、はっきりとは分かりにくいものです。カブ70の歴史や希少性、独特な角目モデルの存在も気になります。一方で、90の最高速はどのくらいなのか、70の馬力や燃費性能と比較してどうなのか、といった具体的な性能差も知りたいところでしょう。
さらに、購入後の楽しみであるカスタムのしやすさや、維持費に関わる中古相場も重要な判断材料です。結局のところ、自分にとってスーパーカブの最高傑作はどちらなのか、そして、どっちを選べばいいのか、失敗や後悔のない選択をしたいと考えるのは当然のことです。この記事では、そんなあなたの疑問に全てお答えします。

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この記事では、以下の4つのポイントについて詳しく解説します。
- スーパーカブ70と90のエンジン特性やスペックの具体的な違い
- それぞれのモデルが持つ歴史的背景と希少性
- 中古車選びの際に役立つ相場や注意点
- カスタムの可能性や維持費から見た最適なモデルの選び方
スーパーカブ70と90、どっちを選ぶ?基本性能の違い
この章のポイント
- スーパーカブ70の歴史と立ち位置
- エンジンで見る70と90の違いは何?
- 高回転型エンジンのカブ70の馬力
- トルク重視のカブ90の最高速は?
- スーパーカブ70の燃費は90と違う?
スーパーカブ70の歴史と立ち位置
スーパーカブ70は、50ccでは物足りないけれど90ccほど大きな排気量は必要ない、という絶妙なニーズに応えるために存在したモデルです。その歴史は古く、1960年代に登場したC65(63cc)を源流とし、1969年にはC70(72cc)としてラインナップに加わりました。
長年にわたり、50、70、90という3つの排気量で「カブ三兄弟」として親しまれてきましたが、1980年代に入ると、それまで独自設計だった90ccモデルのエンジンが70ccベースの設計に変更され、車体も共通化が進みます。これにより、三兄弟としての関係性がより強固なものになりました。

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しかし、時代の流れとともにユーザーの需要はよりパワフルな90ccに集中し、また厳しくなる排出ガス規制への対応コストの問題もあり、残念ながら1999年頃にカブ70はその役目を終え、生産終了となりました。このように、カブ70は50ccと90ccの間に位置するミドルクラスとして、独自のポジションを築いてきた歴史を持つモデルなのです。
エンジンで見る70と90の違いは何?
スーパーカブ70と90の最も大きな違いは、エンジン設計の思想そのものにあります。見た目の排気量の差以上に、走行フィーリングに大きく影響する特性の違いを理解することが、モデル選びの鍵となります。

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ボアとストロークから分かる特性
表を見ると分かる通り、シリンダーの直径(ボア)は両者とも47.0mmで同じです。しかし、ピストンが上下する距離(ストローク)が異なります。
- カブ70: 50ccと同じ41.4mmのショートストローク。高回転までスムーズに回りやすい特性を持ちます。
- カブ90: 70ccからさらにストロークを伸ばした49.5mmのロングストローク。低回転から力強いトルクを発生させやすい特性があります。
言ってしまえば、カブ70は「50ccのボアアップ版」、カブ90は「70ccのストロークアップ版」という関係性です。この基本的な構造の違いが、後述する馬力や走行フィーリングの差に直結しています。
高回転型エンジンのカブ70の馬力
カブ70のエンジンは、前述の通りショートストローク設計のため、高回転域での伸びやかさが魅力です。最高出力は6.0馬力と、数値上は90に及びませんが、実際に走行すると軽快な吹け上がりを体感できます。
特に、平坦な道で速度を乗せていく場面では、エンジンを回す楽しさを味わえるでしょう。振動も90に比べて少ない傾向にあり、長時間巡航する際の快適性では70に軍配が上がるという意見もあります。
ただ、この高回転型の特性は、裏を返せば低回転域のトルクが細いということでもあります。坂道での再加速や、荷物を積載した状態での発進などでは、90に比べて力不足を感じる場面があるかもしれません。要するに、カブ70はエンジンを積極的に回して走ることに楽しみを見出せるライダーに向いていると言えます。
トルク重視のカブ90の最高速は?
一方、スーパーカブ90はロングストロークエンジンならではの豊かな低中速トルクが最大の特徴です。最高出力は7.0馬力と70を上回り、特に発進時や登坂路でその力強さを実感できます。アクセルを大きく開けなくてもスムーズに車体を押し出す感覚は、日常使いでのストレスを大きく軽減してくれます。
最高速については、平坦な道であればメーター読みで80km/hから90km/h程度まで到達可能です。もちろん、これはあくまで参考値であり、道路状況やメンテナンス状態によって変わります。
重要なのは最高速の数値そのものよりも、60km/h前後での巡航が非常に楽である点です。幹線道路の流れに乗って走る際にもエンジンに余裕があり、安定した走行ができます。ただ、高回転域では70に比べて振動が大きくなる傾向があるため、人によっては長距離走行で疲れを感じやすいというデメリットも考えられます。
エンジンスペックの比較
両者のエンジン仕様を比較すると、その違いは明確です。
スペック | スーパーカブ70(最終型) | スーパーカブ90(最終型) |
エンジン型式 | C70E (空冷4ストロークOHC単気筒) | HA02E (空冷4ストロークOHC単気筒) |
総排気量 | 72cc | 85cc |
ボア×ストローク | 47.0mm × 41.4mm | 47.0mm × 49.5mm |
最高出力 | 6.0 ps / 7,000 rpm | 7.0 ps / 7,000 rpm |
最大トルク | 0.68 kgf・m / 5,000 rpm | 0.79 kgf・m / 5,500 rpm |
変速機 | 常時噛合式3段リターン | 常時噛合式3段リターン |
スーパーカブ70の燃費は90と違う?
カタログスペック上の定地燃費を見ると、カブ70が60.6km/L(60km/h走行時)、カブ90が60.0km/L(60km/h走行時)と、両者にほとんど差はありません。どちらも非常に優れた燃費性能を誇ります。
しかし、実際の燃費は乗り方によって変わるため、一概にどちらが良いとは断言しにくいのが実情です。

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例えば、頻繁に加減速を繰り返す市街地走行では、トルクが豊かでアクセル開度が少なく済む90の方が、結果的に燃費が良くなる可能性があります。逆に、一定の速度で走り続けるツーリングなどでは、エンジンを効率よく回せる70の方が燃費を伸ばせるかもしれません。
いずれにしても、両モデルともリッターあたり40km~50km以上は期待できるため、燃費性能がモデル選択の決定的な差になることは少ないと考えられます。どちらを選んでも、経済性に優れたバイクライフを送ることができるでしょう。



購入視点で比較!スーパーカブ70と90、どっちが買いか
この章のポイント
- カブ70の中古相場と価格動向
- 生産終了したカブ70の希少価値
- カブ70角目モデルを探すポイント
- カブ70のカスタムとパーツ互換性
- スーパーカブの最高傑作は70か90か
- 結論!スーパーカブ70と90、どっちを選べばいいか
カブ70の中古相場と価格動向
スーパーカブ70の中古車を探す際、まず念頭に置くべきはその流通量の少なさです。90ccモデルに比べて販売台数が少なかったこと、そして生産終了から20年以上が経過していることから、中古市場で見かける機会は限られます。
2025年6月時点での中古相場は、走行距離や年式、車両の状態で大きく変動しますが、おおむね15万円から30万円程度が中心価格帯です。特に、走行距離が少なく、外装の状態が良い車両や、最終型に近いモデルは高値で取引される傾向があります。

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注意点として、価格が安い車両にはそれなりの理由があることが多いです。エンジンの不調やフレームのサビなど、購入後に修理費用がかさむ可能性も考慮しなくてはなりません。流通量が少ないため、希望の条件に合う一台と出会うには、根気強く探す必要があります。タマ数が豊富な90に比べて、選択肢が少ない点はデメリットと言えるかもしれません。
生産終了したカブ70の希少価値
前述の通り、スーパーカブ70はすでに生産を終了しており、その存在自体が希少になっています。この「希少性」は、カブ70を選ぶ上での大きな魅力の一つです。多くの人が乗っている90ccではなく、あえて70ccを選ぶという選択は、一種のこだわりや個性の表現にもなります。
カブ70が持つ独自の軽快な乗り味は、90ccとは明確に異なります。このフィーリングを好む熱心なファンも少なくありません。「分かる人には分かる」という玄人好みのモデルであるため、所有する満足感は高いものがあります。
ただし、希少であることはデメリットにも繋がります。万が一、エンジン内部の専用部品などが故障した場合、部品の入手が90ccに比べて困難になる可能性があります。もちろん、多くの部品は50ccや90ccと共通ですが、専用部品の存在も念頭に置いておくことが大切です。
カブ70角目モデルを探すポイント
スーパーカブの中でも、1980年代半ばから登場した「角目」デザインは、レトロな丸目とは一味違う魅力があり、特定のファン層から人気があります。カブ70にも、この角目ヘッドライトを採用したモデルが存在します。
角目モデルは、主に「カスタム」グレードに採用されており、セルスターターが装備されていることが多いのが特徴です。年式的には比較的新しい世代(80年代後半~90年代)になるため、電装系が12V化されている点も大きなメリットです。6V仕様に比べてライトが明るく、バッテリーなどの部品も入手しやすいため、実用面で有利です。
探す際のポイントとしては、やはり年式相応の劣化をチェックすることが不可欠です。特に樹脂パーツの色あせや割れ、スイッチ類の動作不良、フレームやリムのサビなどを注意深く確認する必要があります。角目モデルも流通量は決して多くないため、状態の良い車両を見つけたら、早めに決断する必要があるかもしれません。
カブ70のカスタムとパーツ互換性
スーパーカブの楽しみの一つに、豊富なパーツを使ったカスタムがあります。この点において、カブ70は非常に有利なポジションにいます。
その理由は、エンジンが50ccと共通のストロークを持つ「モンキー・カブ系」に分類されるためです。市場には50cc向けのボアアップキットや強化パーツが数多く流通しており、これらの多くをカブ70に流用することが可能です。エンジンのチューニングを突き詰めていきたいと考えるなら、カブ90よりも70をベースにする方が、はるかに選択肢が広がります。

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一方で注意したいのは、郵政カブとして知られるMD90です。同じ90ccでも、このMD90は一般的なカブ90(HA02E)とは異なり、旧CS90系のエンジンを搭載しています。そのため、市販のカスタムパーツとの互換性はほとんどなく、チューニングの可能性は極めて限定的です。
要するに、カスタムを前提とするならば、50ccと親和性の高い70は非常に魅力的な素材であり、90を選ぶ際もMD90は避けた方が無難と考えられます。
スーパーカブの最高傑作は70か90か
「スーパーカブの最高傑作はどのモデルか」という問いは、多くのカブファンの間で交わされる永遠のテーマです。この問いに唯一絶対の答えはありません。なぜなら、ライダーがバイクに何を求めるかによって、その評価は大きく変わるからです。
実用性や力強さを最優先するなら、カブ90が最高傑作だと言えるかもしれません。低速からトルクフルで、坂道や荷物の積載にも強い90は、ビジネスバイクとしての完成度が非常に高いです。日常の足として、あらゆる場面で頼りになる相棒となってくれます。

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一方、バイクを操る楽しさや、エンジンを回しきる爽快感を重視するなら、カブ70こそが最高傑作だと感じる人もいるでしょう。90にはない軽快なフィーリングとスムーズな回転上昇は、70ならではの美点です。バイクとの一体感や、小排気量ならではの奥深さを楽しみたいライダーにとっては、かけがえのない魅力を持っています。
このように考えると、どちらが優れているかではなく、どちらが自分の価値観や使い方に合っているかで判断することが大切です。



結論!スーパーカブ70と90、どっちを選べばいいか
この記事を通じて、スーパーカブ70と90の様々な違いを解説してきました。最終的にどちらを選ぶべきか、あなたのための判断材料を以下にまとめます。
- スーパーカブ70がおすすめな人
- エンジンを回して走る軽快なフィーリングが好き
- 90ccよりも振動の少ない快適な乗り心地を求める
- 将来的にエンジンカスタムやチューニングを楽しみたい
- 他人とは違う、希少で玄人好みのモデルに乗りたい
- 50ccからのステップアップで、扱いやすいパワーを求めている
- スーパーカブ90がおすすめな人
- 発進時や坂道での力強いトルクを重視する
- 荷物を積む機会が多く、実用性を最優先したい
- 幹線道路などを安定して巡航できるパワーの余裕が欲しい
- 中古市場で豊富な選択肢の中からじっくり選びたい
- カスタムはあまりせず、ノーマルの完成度を重視する
- エンジンの基本設計が最大の違い
- 70は50ccベースのショートストローク(高回転型)
- 90は70ccベースのロングストローク(トルク型)
- 性能面の比較
- 馬力は90が優れるが、70は軽快な吹け上がりが魅力
- 最高速や巡航性能ではパワーに勝る90に軍配が上がる
- 燃費はほぼ同等で、どちらも経済性に優れる
- 中古市場と希少性
- 90に比べて70は流通量が少なく希少
- 状態の良い70は高値で取引される傾向がある
- 角目モデルは12V仕様で実用性が高いが、これも希少
- カスタムの将来性
- 50cc系パーツが流用できる70はカスタムの幅が広い
- 90は専用設計部分が多く、特にMD90はカスタムに不向き
- 最終的な判断基準
- あなたのバイクライフで何を最も重視するかで決める
- 「実用性の90」か「趣味性の70」かという視点で考える
- 可能であれば両方を試乗してフィーリングを確かめるのが理想
- どちらを選んでもカブならではの楽しさと信頼性を得られる
- この記事の情報を参考に、後悔のない一台を見つけてください